労災保険

2018/06/10

一人親方必見!クレームが起きたら!?上手なクレーム対処方法とは

一人親方必見!クレームが起きたら!?上手なクレーム対処方法とは

クレームやトラブルが頻発し「クレーム産業」とも呼ばれている建設建築業界、今回はそのクレームに直面した時の「対処法」について考えてみたいと思います。
「クレーム産業」というと「3K」に加えてマイナスイメージだという印象を受けますが、これは昨日今日の話ではなくずっと以前から陰でそう呼ばれてきました。建設建築業界は戦後の日本経済の発展と共に成長してきた中核産業であり、一番の契機になったのは昭和40年代から昭和50年代にかけての住宅ラッシュで、その華やかさの裏にある陰の部分として言われてきたこともあります。建設建築業は事業を営む上で、元請の業者・現場の近隣住民など密接に関わり、工事期間も長期になることが多く、避けては通れなくなっているのが「クレーム」であり、実際に工事関係者や利害関係者とのコミュニケーションの齟齬や仕事の雑さが原因で、思わぬトラブルに繋がってしまったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。工事をする上で「クレーム発生ゼロ」を目指すことは当然ですが、クレームを受けた時、上手に対応して沈静化させるというも同じくらい大切です。
 環境省の調査によると、「騒音に関するクレームや苦情」が自治体に持ち込まれる件数は毎年連続して増えており、平成25年度には全国で「1万6,000件」以上にのぼり、比率でも建設作業の騒音に関する苦情が全体の約36パーセント、工場や事業場の騒音に関する苦情が約28パーセントという残念な結果となっています。
(※次に多いのが店舗等の営業の騒音に関する苦情で全体の約10パーセントとなっています。)

クレーム対応の基本は「自分のこととして考えられるか」
 建設建築業界では、他の産業と比べても工事の作業工程ごとに全く別の会社や部署が作業しているケースが多く、一人親方として自分の専門の工事を部分的に請け負っている場合など、受けたクレームが自分とは無関係な工事の範囲であることもあるので、実際にはどのようなクレーム対応をすれば良いのでしょうか?

対処ポイント1 「まずは話を聞く」
 お客様や近隣住民などがクレームを言ってくる場合、その時点で「感情」が先に立って興奮している可能性があります。そのため、自分の工事と関係がなかったとしても途中で話を遮ったりするのではなく、まずはいったん話を全て聞くことが大切になってきます。そしてお預かりした内容は正確に担当職人や責任者に共有してから、折り返しのご連絡をすることが重要になってきます。相手からのクレームを受けて、その場で勝手な解釈や対応をすると、後から更に大きなトラブルや損害の原因にもなりかねないので注意しましょう。
例えば、皆さんが日常の中で電車に乗っている時に、電車のホームで人身事故が起きて駅のホームが混雑してしまったとします。電車の乗客から駅員に対して、「このままでは仕事に間に合わない」というクレームが入りました。駅員にしてみれば、安全確認が最優先となるので、確認作業に時間がかかるのは仕方のないことですが、乗客にしてみると早く到着することが何よりも大事です。このような時には、両者にとっての優先すべきことに違いが発生してしまい、その違いがトラブルの原因となるので、お互いが感情や相手の状況を理解しようとすることから始めましょう。

対処ポイント2 「共有する」
 クレームを受けた後に大切なのは、関係者や社内などで内容を共有することです。共有する目的は、クレームとして皆に認識してもらうことやお客様の問題を解決する手段を探すことだけではなく、今後のクレーム発生に対する予防策の種と、発生した場合の対応フローとしてノウハウを蓄積することで、会社や一人親方の仲間の「資産」にすることにあります。発生したクレーム事案をもとに、社員研修を行なっている会社も多く、事前にどのようなクレームを受けたことがあるか、その際どう対応したかについてアンケートを取り、それをもとにケーススタディを作成して「あなたならどうしますか?」と考えてもらうグループワークを行うと、「自分のこととして」考えるトレーニングにもなります。また、社内ルールが決まっていない場合であっても、グループで考えることにより、「自分ならこうする」という意見を共有し、メンバー間での認識を合わせていくこともできます。そのためにも、クレームが発生した時に気軽に相談したり話し合いを進められるような雰囲気や関係性の構築が日頃から欠かせない理由です。
良いことは後から報告しても良いですが、悪いことは真っ先に報告する。これが相手との関係(特に取引先や上司など)を保つためには有効です。

対処ポイント3 「記憶でなく記録に残す」
 クレーム処理の共有の方法として「何月何日、こんな事例がありました」というクレーム対応の記録表を作成し、その情報を定期的に社内で共有する場を設けることで正確な情報が伝わり共有することができます。どうしても報告書が面倒で、過去の失敗を「人の記憶」だけに頼りがちになってしまいますが、簡単な様式(最初は要点だけわかれば良い)で良いので、正確な事例集を蓄積していくことをお勧めします。
 クレームは「ここまではやってくれるだろう」というお客さまの期待値を下回ってしまった時に発生してしまいます。一人親方として会社の職人として、お客様の期待することは何なのかということを常に考え、その1つ上のレベルを目指して実行していけば、クレームはなくなるのかもしれませんし、問題が発生した場合でもクレームに発展しないのかもしれません。

一人親方は個人が看板でもあるので、「コミュニケーション能力」がカギ
 一人親方は何度もお伝えしていますが、「一人の経営者・事業主」という立場です。基本的に仕事の契約内容も請負となるため、取引先や現場の近隣住民とのトラブルが発生した場合にも、自己責任のもとに対処することとなります。そしてクレーム対応で最も大切なことは、ポイント1の「話を聞く」という部分であり、この時の誠実で素早い対応がカギとなるので、いかに真摯に耳を傾け、状況を的確に把握し、それを共有することで解決策を探していくのかということが、クレーム発信者の心証にも大きく影響してきます。
 少し勉強になりますが、クレームを言う言わないの境界として、専門用語で「受忍限度論(じゅにんげんどろん)」というものがあります。その内容は、クレームとは『騒音や悪臭、振動などの生活環境にかかわる問題について、近隣に一切の迷惑をかけてはならないのではなく、近隣に与える不利益が「受忍限度を超える場合」に限り、慰謝料等の対象となる。』という考え方で、『騒音や悪臭、振動が受忍限度を超えている場合は、対策を行ってレベルを下げることが必要です。』という論です。事業をする前からクレームを出す環境は例外として、クレームの火種は少しずつ増加していくので、その火種を早めに見つけて対策することが大切です。当然ながら対策を無視していれば、クレーム発生ごの裁判などでも慰謝料等の支払いを命じられることもあるので注意が必要です。
 現在、外国人などを中心に、日本国内で安く泊まれる施設として「民泊」というサービスが急速に拡大していますが、工事段階だけでなく、サービス開始後の近隣に対するクレームが後を絶ちません。少し前に、レオパレス21という会社が建築基準法違反のアパートを工事し、利用開始後に違反が発覚したため、官公庁が施工した設計士や職人に責任を追求するのかという議論もされています。人種や年代を超えた様々な価値観の人々が生活やサービスを利用するための建築物、それを作っていく職人として自分の工事が周囲に対してどのような影響を及ぼすのか、工事中だけでなく利用開始後の影響も考えておく必要がある時代なのかもしれません。

参考情報:事業活動や工事についての騒音規制について
「騒音規制法」という法律で規制されており、人間が静かだと感じるのは「45デシベル」以下が目安となるとされています。建築工事の規制基準である「80デシベル」というのは、およそ「地下鉄の車内の騒音」くらいといわれており、かなりうるさい範囲まで法律上の許容範囲とされています。そのかわりに、建築工事では1日における作業時間や、同じ場所における連続作業日数に制限が設けられています。

LOGIN

お仕事への応募や案件に
関する質問などご利用いただくには
ログインが必要です。

ERROR

セッションが切れました。
再ログインをお願いします。

ID(メールアドレス)

パスワード