労災保険

2018/09/09

建設建築業界における外国人労働者の定着率アップの秘訣

建設建築業界における外国人労働者の定着率アップの秘訣

各地で台風や地震などの被害が拡大しています。皆さんも出来る範囲での復興支援をしていきましょう。
 建設建築業界では有効求人倍率やアンケート調査などでも人手不足が深刻になっていますが、今後も日本は高齢化が急速に進み、建設建築のように労働集約型の現場系で、更に専門的な知識や技術が必須の業種は特に問題が深刻です。しかし、人が足りないからといって、若ければ良い・安く雇用できるからというような単純な基準での人材調達はミスマッチの原因となり危険です。日本人であっても雇用した後に定着させるのは難しいにも関わらず、文化も言葉も違う外国人となると、雇用しても待遇や仕事内容が合わずに逃亡したり離職する外国人は後を絶たないのが現状です。
 人材のミスマッチはお互いの時間やお金、精神などあらゆる面で損失が発生してしまうため、非常に勿体無い状態であり、何がミスマッチを引き起こしているのかを深く考える必要があると思います。今回は、そんな外国人労働者を定着させるためのポイントについて考えてみたいと思います。
外国人労働者には様々な層がある
 今まで国は、外国人(原則として大卒相当の高度人材)を柔軟に受け入れてきましたが、大卒相当以外の単純労働者 に関しては、格差拡大防止の観点から原則受け入れないという方針をとってきました。しかしこれからは単純労働者受け入れに関する方針を大きく変更しており、国内の外国人労働者は5つの形態に大別されています。
 1:「専門的・技術分野の就労目的で在留が認められる者」
   約23万人おり、企業経営者や管理者・海外企業の転勤者・大学教授・医師・弁護士・研究者などのホワイトカラーが該当。
 2:「身分に基づき在留する者」
   約45万人おり、永住者や主に日系人の定住者、日本人の配偶者を持った外国人で、在留中の活動に制限がない。
 3:「技能実習者」
   約25万人おり、技能実習生を指す。受け入れ職種は、農業や建設・食品・縫製・機械・金属・介護といった分野で働くことができる。
 4:「特定活動」
   約2万人おり、看護師・介護福祉士候補者・建設・造船など、特定分野に限定して在留資格を持って働くことができる。
 5「資格外活動」 
   約30万人おり、留学生のアルバイトなどが該当。
   1週間に28時間以内の範囲で就労が認められている。
外国人が定着しない理由は何か
 外国人留学生に対するアンケート調査の結果によると、就職・定着への課題として「外国人留学生向けの求人が少ない」が最も多く挙げられており、その他は主に日本企業・社会が受け入れ側の問題が課題となっています。
 ・求人が少ない
 ・就職活動の仕組みがわからない
 ・適正や能力試験が難しい
 ・業界や企業研究の仕方がわからない
 ・日本語での面接が難しい
 ・どんな人材を求めているか不明
 ・入社後の仕事の内容が不明
 ・書類の書き方が難しい
 人材が自分の会社に適正かどうかを判断するのは非常に難しいですが、テストの点数や書類が上手く書けるのかというような形式的な判断基準よりも、最初は雰囲気や礼儀など人間的に会社に合いそうか、というようなフィーリングを重視してみる方が良いのかもしれません。これからは今までの価値観を押し付けるのではなく、多様性を重視して柔軟に対応するという姿勢が会社側に問われていると思います。そして、最終は人材の優秀さや実績よりも「この人と働きたい」という気持ちが一番大切であることは間違いありません。
「相手の話を聞く事」と「自分が話す内容」を日本人よりも意識する
外国人は他国の日本に働きに来ている、という状況を考えただけでも、仕事や生活・人間関係などの多くの不安を抱えています。仕事を進める前に、まずは上手くコミュニケーションを取り、お互いの考えが「伝わり、理解する」ということを意識してみましょう。
1:数年単位の中・長期的な視点を持つ
外国人は技能実習生として来日している場合が多く、特に建設建築業界で求人している人は、教育を受けて準備万端というよりは、すぐに稼ぎたい・日本語が苦手・未経験・無資格でも働きたいという理由で建設建築業を選ぶ人も多く、即戦力としては難しいかもしれません。そのため、初めは様々な作業により本人の適性を見て、中・長期的な視点で「業界の雰囲気や文化に馴染んでもらう」ことが大切です。
2:感情的な態度は絶対にNG
言葉や文化が違う人間同士は、お互いを理解し合うのは容易ではなく、ストレスのために暴言や暴力をふるってしまうケースがあります。最近は様々なハラスメントにも敏感な世の中になっており、特に外国人は日本に比べてハラスメントや暴力に対して敏感であり、日本のように丁稚奉公的な感覚は通用しないので、コンプライアンスには十分注意しましょう。特に労働基準法に関してはよく勉強しておきましょう。
3:共通点を意識したマニュアルを作る
仕事を覚えてもらうためには、何か共通のものがあると共感や理解が早まります。
機器の取り扱いや、業務の流れは誰にでも分かりやすい記号や表現などを使いましょう。例えば、どの国でも分かる「数字」を使って、機器の操作順(1・2・3・4)にシールを貼る、触れてはいけない部分はバツ(×)印など、工夫次第で共有しやすく、無意識で考えなくてもヒューマンエラーが起こらない仕組みを作ることが、労災事故の防止にも繋がります。
外国人労働者の影響力は大きくなるばかり
 外国人の受け入れにより、社会の治安が悪くなる、秩序が乱されるなど様々な意見はありますが、今後グローバル化が強制的に進んでいく社会で受け入れを拒むことは自分達だけでなく業界全体の衰退に繋がります。現状を見ても、外国人の単純労働者がもたらすメリットは明らで、安い賃金でサービスを提供してくれていることは否定できません。
 例えばサービス業を見ると、現在日本の大都市では、数多くの外国人学生がコンビニで働いてくれているお陰で、賃金が抑えられ、狭い地域で数多くのコンビニが採算をとることにも成功しており、これにより住民に安いサービスと便利さをもたらしています。しかし、賃金の多い少ないにより国内で格差が拡大してしまうという懸念もあり、今後も外国人学生アルバイト以外にも単純労働に外国人が流入すると、その格差はさらに拡大していきますが、社会や産業構造を「進化」させていくためには必須なのかもしれません。
 少し長くなりましたが、外国人労働者のミスマッチを防ぐためには、お互いの条件を明確に理解し、その条件の許容範囲からはみ出さないよう、日々のコミュニケーションや施作により調整していくことが大切です。労働者は物ではないので、人間の基本である「思いやり」や「相手の立場で考える」ことができれば良い関係を築くことができると思います。

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