労災保険
2017/10/15
2020年に向けたインバウンド政策と建築・建設業界で勝ち抜く方法
今回は、東京オリンピック・新しい産業の創出・人口減少対策など、様々な可能性を求めたインバウンド(訪日外国人)政策、それが建設業界にどんな影響があるのか考えてみたいと思います。
2020年・東京オリンピックまでに、訪日外国人数を約2倍に
2016年の訪日外国人は2400万人となっており、国はそれを2020年までに4000万人まで増加させる目標を掲げています。2016から2020年までの5年間、毎年約13%増(300万人以上)の計画です。(日本政府観光局データに基づく)
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施策としては下記の内容です。
①発給条件緩和:政府が重視する20カ国・地域のうち現在もビザが必要な5ヶ国
(中国、フィリピン、ベトナム、インド、ロシア)
②建物の修繕や多言語解説の導入支援(全国200カ所の文化財を対象)
③建物の保全重視から観光活用へ転換を促進
④大型の国際会議の誘致や観光の人材育成を促進
⑤訪日外国人の旅行消費額を現在の3兆5千億円から32年に8兆円、42年には15兆円へ
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施策のポイントは、「受け入れ態勢の整備」
訪日客の宿泊先が東京や大阪など特定地域に偏っている実情から、一般住宅に有料で旅行者などを宿泊させる「民泊」の規制緩和を進め、訪日客が日本で言葉が通じないことを最大の不安要素として、多言語化も含め意思疎通の取り組みを進めています。
消費者のニーズを意識することで、他の職人に差をつける
東京を中心に京都・大阪で、ゲストハウスやホテルの建設が加速しています。しかし宿泊施設の経営状況は2極化しており、利用料金のでみると、ゲストハウスは格安で1泊数千円のものと、1万円前後。ホテルもビジネスホテルやカプセルホテルのように割安と、有名で高価なラグジュアリーホテルです。その理由は、宿泊者(消費者)のニーズの変化と違いによるもので、観光地・食事・言語翻訳などの案内(コンシェルジュ)のついた最高のサービスを求める人と、自分達オリジナル(行き当たりばったり、食事を作る、現地人との交流、経済的理由)を求める人に別れつつあることです。建物を設計・建築して行く場合にも、そのような消費者の視点でPDCA(計画・実行・見直し・改善)をすることが、事業として好循環を作り、自分達の評判や次の仕事にも繋がります。日本の建造物はそれぞれの職人達による役割分担が明確なので、高い技術の建造物を作ることができますが、横の繋がりや連携が薄くなりがちのため、結果として消費者のニーズに沿ったものを作り辛い面もあります。まずは、工事をする時に、常に使用する人の状況を意識し、感じたことや改善した方が良いことは、「声」をあげて意見交換していくことから始めてみましょう。