労災保険
2018/01/21
「請負契約」と「業務委託契約」の違いは一人親方必須の知識
建設現場では常に「労災」の危険と隣り合わせです。しかし実際に怪我をしても状況や慣習の中で使用できないケースも多く、労働者が不利な立場にならないよう、労働基準監督署の調査が厳しくなっています。そんな中、労基の監視にかかりにくい勤労者の雇用形態が「業務委託契」です。
「請負契約」と「業務委託契約」の違い
簡単に法律の観点から違いを説明すると
請 負 契 約:仕事の完成が報酬の目的
(例)一戸建て住宅を注文した場合は、注文通り完成した建物(仕事の成果物といわれます)の引渡しが、報酬(対価)を支払う目的(対象)
業務委託契約:業務には、完成という概念はなく、任せられた業務(一部工事など)を行うことが報酬の目的
業務委託の場合、企業と委託者は対等な立場なので、受託者には労働基準法など労働者を保護する法律が適用されなくなりますが、組織と個人の契約において、委託者は企業側の依頼を断る権利や、業務も概ね裁量で進められることができます。
もし、委託者が裁量権のない現場で働いていた場合、その事実が労基署に認められれば、たとえ業務委託を結んでいたとしても労災はおりる仕組みにはなっています。
ブラック企業が悪用
業務委託の場合、企業は、雇用保険や社会保険に加入しなくてよく、残業代の支払い義務も負わないので長時間の労働を命じることができます。
ブラック企業にとって業務委託は、労働力を搾取するうえで非常に都合のよい形態ともいえます。
また、「業務委託」を結ばせて、残業代も支払わず労働者を使い捨てる企業や、専門技術を要する場合、一定程度を労働者の裁量に任せざるを得ないという内容を事細かに指示できないということを逆手にとり、使用者側が業務委託を強いる場合もあります。
法律は「基準」でしかない
どれだけ書類上で業務委託を装っていても、明らかな従属の関係がある場合は、労働者が労基署に駆け込めば「労働者」と認められるようにはなっていますが、問題や不満があるからといってすぐに駆け込むのはオススメしません。まずは契約内容や状況を把握し、情報を集めたり、専門家に相談することから始めましょう。