労災保険
2017/01/15
建築・建設業界でも導入が進んでいるPOファイナンスとは
こんにちは。今回は「電子債権」が建設建築業界でも導入検討されている記事について考察してみたいと思います。
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「POファイナンス」という新サービスが立ち上がっており、これは発注書(PO:パーチェス・オーダー)を条件付きの電子債権として登録することで、金融機関が発注書を担保にとれるようにする仕組みです。受発注の段階から金融機関が資金供給していただく方式で、建設業では公共工事で先行して取り組んでおり、公共団体から保証機関の保証をつけて、当該会社に「前払い金」を支払うという仕組みを取っています。POファイナンスでは、どの段階でどういう形で債権取引をしていくかということがきっと問題になってくると思うのですが、そこをきちっと対応することによって、民間工事においても同じようなファイナンスができていくのではないだろうかということです。
金融庁の金融検査マニュアルでは、赤字の会社に貸した瞬間に不良債権とされていました。地元の赤字企業がいい案件を受注し、そのために融資しようとすると、貸倒引当金を計上する必要があります。つまり、最初から貸倒引当金を充てなければいけないような融資を、営利法人としての民間企業がしていていいのか、という問題が生じてしまうわけです。それは株主に対する背任行為になる。損が分かっていて行うのはまずいわけで、身動きが取れなくなってしまったということかと思います。
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業界の資金面の問題として、建築資材の調達では資金が先出しとなり、後から支払いを受けるという流れが一般的で、お金を貸す銀行や投資家等からしても、先出しの上に回収にもリスクが伴うので融資や投資に積極的になりにくい面があります。景気悪化等の不安定な状況で銀行の貸し渋りにより建設業者が倒産すると雇用だけでなく、地域のメイン産業でもあるので、地場の経済にとっても深刻な問題に発展してしまいます。
無担保無保証で銀行が貸し出しをする額は、全体の融資額の3分の1とも言われており、発注所の段階で借り入れが可能となれば、事業の見通しや人材採用計画も立てやすく、やる気も沸いてくるので積極的な事業展開により競争力も増していくので、技術力の向上にも繋がります。
現在でも大手ゼネコン等は電子決済システムを常用していますが、電子債権も積極的に導入すれば、例えば債権者は銀行でなくても、資金力のあるゼネコンでも対応は可能であると思います。元請け側が債権者となれば、下請け叩きというような問題も課題となりますが、債務者との連携も必須となり、強いチームワークと多様性の求められる工事等にも対応しやすくなり、良い循環が生まれてくると思います。
積極的にこのシステムを浸透させ、中小零細企業の資金面でのバックアップをしてほしいと思います。お金は人間の身体の血液と同じで、循環させること、つまり融通させることで価値が発生します。景気の変動に備えることはもちろん重要ですが、日本の業界全体で力を合わせて技術力を強化し、後世の教育を行っていくことが長期的な投資であり、発展であると思います。
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Bon declic株式会社
代表取締役 岡 竜也
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